嶋田裕太インタビュー(後編)「強い相手がいるライトフェザー級で戦いたいんです。」

5月30日から6月3日にかけてカリフォルニア州ロングビーチで開催されるブラジリアン柔術世界選手権=ムンジアルの黒帯ルースター級に出場する嶋田裕太インタビュー後編。
パン柔術3位、NYのマルセリーニョ・ガウッシアの下で出稽古を行い、日本で最終調整を積む嶋田のルースター級という階級への拘りを尋ねた。

──米国でも自分と同じサイズの選手が多い場所で出稽古をしようとは思わないものでしょうか。

「試合前に日本で調整しているので、特に思わないです。試合前に海外へ行くなら、体格の似た選手が多い方が絶対的に向いています。ただ、僕は試合のための練習でなく、習いたい柔術がMGにあるのでNYへ行くんです。MGで手にしたモノを日本で試す、それが僕のやり方です。
MGで僕が一番練習するのはジャンニ・グリッポで、フェザー級ですが普段は70キロ以上あります。彼自身あまり練習パートナーがいない状況なので、僕とクラス後でもスパーをしたりしてくれます。ジャンニはMGっぽさと、そうでない柔術を知っているので、凄く勉強になります」

──今回、トライフォースのコンペ練習を見させて頂いたのですが、ここが試す場なのですね。

「ハイ。試しています。体調と相手によっては負けない柔術をすることもありますし、ポイントを念頭に置いて練習することもあります。最近分かってきたのですが、体力的に余裕がある時は、頭を使う柔術をしているんです。
で体力に余裕がなくなると、考える余裕がなくなってくるので、状況が試合に近くなって試すというより、試合のようにポイントを意識したりもします。
若くて、明らかに僕より経験の少ない人とは同じようにスパーリングをしようと思えば、同じようにできてしまいます。毎回、腕十字を狙えば取れると思うし、バックチョークを取ろうと思えば、それも取れると思います。それも練習なんでしょうけど、僕はMGで仕入れてきたことを試したいですよね、それなら。
芝本(幸司)選手とか、先輩とやる時も試すことは試すのですが、それができる機会は限られてきます」

──嶋田選手は試合ではALMAの特注道着を着用していますが、実戦を想定したスパーで道着を試すようなことはないのですか。

「それはしたことはないです。試合の時は減量しているので、体形が違いますから……練習用に同じ機能の道着があるのは良いことかもしれないです。
試合では袖にしてもギリギリまで絞って、規定内のリミットのような道着を着用しています。だから試合で、袖をしっかりと掴まれるようなことはなくなってきました。ただし、掴まれることもあるはず。その時、どうすれば良いかを練習するために、練習では掴まれることも大切だと思います。
だからといってわざと持たせることもないですし、コントロールされることがないよう心掛け、試合では持たれにくいと自覚して練習しています。でも、ずっとではないにしても、普段の体格で同じ縫い方、同じぐらいタイトな道着があって、それを着て練習するのも良いかもしれないですね」

──改めてムンジアルでは錚々たるメンバーが出揃うなか、クジ運というか所属アカデミーのパワーもトーナメント枠には関係してきます。

「層が厚いから、ライトフェザー級で戦いたいんです。競争率を低くして戦績を残すという選択より、勝ちたい相手、強い相手がいるライトフェザー級で戦いたいんです。そこで勝って、皆に喜んでもらえると僕自身も心から喜べるはずです。
ライトフェザー級は10代の時からずっと戦ってきた階級で、外国人選手でも紫帯の時から肌を合わせて来た選手がたくさんいます。そんな彼らが、今は僕より先を行っている。だからこそ、ライトフェザー級で勝つことを諦めたくないんです。
大変なトーナメントだというのは分かっています。でも、自分が選んだところです。結果だけが欲しければ、競争率の低いところを選ぶのでしょうけど……それじゃ、なんのために世界で戦うのか、本末転倒です」

──では改めてムンジアルでの目標をお願いします。

「一番良いのは優勝ですけど、毎年そんなことを言ってきて、結局色帯のところから果たせていない。それをここで言っても信用されないので、最低でも表彰台に上がりたいです。ただ、戦いたい相手に勝ったうえで、その結果が欲しいです。準決勝まで戦いたい相手との試合なしで表彰台に上がっても、嬉しさも半減します。
そうですね、現実的な目標として表彰台です。結果的にパン柔術3位だったので、ムンジ3位と口にして良い権利はあるかと思っています。そこで強い人たちと戦って、結果を残したいです」

──本音を言えばトーナメントの山として、決勝までジョアオ・ミヤオと当たらないトーナメント枠になってほしいです。

「僕もジョアオに勝ちたいですけど、他の色んな選手と戦いたいという気持ちもあります(※ムンジアル・ウィークに入り、トーナメント枠が発表され──島田は準々決勝でミヤオと当たる山に入った)。
マイキーとも茶帯の時に準決勝で戦ったきりですしね。だからこそ、ムンジアル以外の海外の大会にもっと挑戦したいと思っています。ジョアオ以外の強敵とも戦いたいので。ジョアオは強いですし、勝ちたい相手です。でも、そこまでズバ向けて強いとはもう思っていないです」

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