嶋田裕太インタビュー(前編)「ジョアオの得意分野で上回るのは難しいですが、違う部分で僕が上のところもある。」

5月30日から6月3日にかけてブラジリアン柔術世界選手権=ムンジアルが、カリフォルニア州ロングビーチで開催される。

その前哨戦といえる3月開催のパン柔術で黒帯ライトフェザー級で3位表彰台という結果を得たにパン柔術の結果をもって挑むムンジアル、世界最高峰の場に挑む現在の練習状況などについてインタビューした。

──ムンジアルまで1カ月強、パン柔術からは1カ月半。2つの大会の折り返し地点を過ぎたところですが、パン柔術黒帯ライトフェザー級3位という結果について、改めて聞かせてください。

「パン柔術3位という結果に関しては、それほど嬉しくないです(苦笑)。応援してくれる人達が喜んでくれた、そこだけです。正直、もっとタフなトーナメントだったら嬉しかったと思います。イアゴ・ジョージ、マイキー・ムスメシ、アイザック・ドーダーラインが出ていない、パブロ・モントバーニは逆の山だった。
モントバーニは決勝でジョアオ・ミヤオに負けたのですが、2人の試合は凄く良い試合だったので、見ていて悔しかったです。実力的にも差があると感じました」

──島田選手はそのジョアオに準決勝でポイント4-4、アドバン1-3で敗れたわけですが、モントバーニとも差を感じたということでしょうか。

「ハイ。そうです。トーナメント自体、1試合勝っただけで準決勝でジョアオに負けて、その勝った相手もずっと勝ちたかった相手じゃない。それこそモントバーニやジョアオ、マイキーに勝っていたら、順位に関係なく嬉しいトーナメントだったと思います」

──しかし、それだけ戦いたい相手が出場しないトーナメントのために自費でカリフォルニアまで行くというのも厳しいスポーツです。

「僕が勝ったマニュエル・サンチェスもLAオープンで優勝していて、パン柔術も他の大会に出てポイント獲得していないと出場できなくなったので、決して弱い相手ではないのですが……僕が勝ちたいと思っていた柔術家ではなかったのは確かです。僕自身、去年のパン柔術が黒帯で初めての海外のトーナメントで、初戦で勝てるかどうかで僕の力を図ることができるなんて、凄く弱気な発言をしていました。でも、今年はそんなことはなくて。ジョアオとも去年は10回戦って1回勝てるかなんて取材で話していたのですが、いけるんじゃないのかっていう手応えを感じました。
トーナメント結果云々ではなく、実力はついているという感触はありました。そういう意味で、誰と戦えるのか分からないですけど、パン柔術は出るべき試合だと捉えています」

──ジョアオ越えに自信を深めたと。

「お互いに得意な部分が違うので、彼の得意分野で上回るのは難しいですが、違う部分で僕が上のところもある。全体的で見たらそれほど変わらないかと思います。ただ、戦略的な部分では課題は残っています。そこは詰めて練習しています」

──去年のムンジアルと、今年のパンにおけるジョアオとの戦いの違いは取り切ったところ。ムンジアルではスイープなどの仕掛けを場外へ逃げられ、アドバン止まりだったのがパンではしっかりとスイープで得点を手にできました。

「去年2度対戦して上手くいかなかった。だから3度も同じことをしてはいけない。絶対にダメだというのはありました。僕のことを応援してくれるジムの先輩やサポートしてくれる人達に3度目も同じ過ちを犯すような試合を見せることは出来ません。過去2回とは違う戦いをしないといけないということは、絶対的に思っていました。
紫帯の頃を含めると4度目の対戦で、初めてまともに4点というポイントを獲得できました。そういう部分でも、戦略の大切さを感じています」

──それでもパンの3位なのだから、表彰台で笑顔ぐらい浮かべても良かったのでは?

「あそこまでの表情とは自分でも気づいていなかったですが、あの場で笑うことはできなかったです。ただ、帰国して皆が『おめでとう』と言ってくれて、お疲れ様会のようなものを催してくれた時は、『これはパンで3位になったからなんだな』って嬉しくなりました(笑)」

──黒帯の表彰台が夢だった時代を知っている世代としては、パン柔術3位であれだけ厳しい表情をする選手が出て来たのかと隔世の感があります(笑)。

「あの表情は偶然だと思うのですが……やはりムンジアルの表彰台とは違う。ムンジアルはメンバーが違ってくると思うので。それに例えムンジアルの表彰台でもタフな相手に勝てなかったから、満足はできないと思います」

──パン柔術のあと半年振りにNYのマルセロ・ガウッシア(※MG)のところで出稽古を行ってきました。やはりMGへ行くと嶋田選手の柔術がアップデートできるということでしょうか。

「めちゃくちゃできますッ!! 1週間の滞在ですが、色々な人に疑問点も尋ね、多くのモノを持ち帰ることができました。それを帰国してから確認している最中です。MGで学んだことを向うで磨くというのは、僕のキャパを上回る作業になるのでMGで仕入れたモノをある程度整理して、日本に戻って来て試しています。
どうしても、MGの柔術家たちは大きいので同じような体重だと掛かる技も掛からなくなります。それに動きも軽量級の選手は早いですしテクニカルです。だから僕は大会前の調整は向うでやることはないですし、日本でやっているんです」

──あくまでもMGは柔術の知識を得る場であり、そこを磨くのが日本での稽古だと?

「日本で僕が練習しているメンバーは強いです。これは本当に僕が感じていることで。橋本(知之)選手のように自分の追及するスタイルのお手本というか先生が同じ階級で、そして練習相手も軽量級の柔術家が多いなら、米国で最後の調整をすることは有益だと思います。
でも、僕はMGの柔術を学んで自分に落とし込むうえで、向うにいるとそれはできない。日本でそれができるのは、技が正確でスピードのある練習仲間がいてくれるからです。確かにトーナメントの結果だけみると、日本はブラジルや米国のレベルにないかもしれないですが、僕は日本の柔術家は米国やブラジルに負けていないと思っています。日本には日本の良さがあるので、僕は皆との練習で強くなれています。
今回も痛感しているのですが、MGにいてそのままでトーナメントに出ると、体格差、動きのギャップで対応できないはずです。それは帰国してから、アジャストする必要があることでも明らかです。だから、僕は試合前の練習は絶対に日本でする必要があると実感しています。と同時に僕が習いたい柔術はMGにあるんです」

<この項、続く>

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